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腹痛には緊急に手術や入院が必要になることも。脱水の場合の水分のとり方や盲腸も説明。

子どもは、自分の症状をうまく言えない時に、「お腹が痛い」と表現することがあります。
よって、子どもの訴えをうのみにせず、本当にお腹が痛いのか、それ以外の症状のことなのか見きわめ る必要があります。

お腹の中の様子は、外から見ていてもよく分かりません。
ですからどうしても不安になります。
もしかして盲腸 (虫垂炎) だったらと心配して、小児科を訪れる患者さんも多くいらっしゃいます。

子どもの腹痛をどのように判断したらよいのか、心配な腹痛とよくある腹痛に分けて考えてみました。
ライン
【心配な腹痛】

腹痛の原因の中には、実際に緊急に手術が行われたり、入院が必要になることもあります。
注意するべき腹痛を挙げてみました。

@ だんだんひどくなり苦しみだす痛みというのは、原因が何であれ、お腹の中の異常事態が進行・悪化していることがうかがわれます。
診断や原因が分からなくても出来るだけ早めに診察を受ける ようにしたほうがよいでしょう。

虫垂炎はこのような経過をたどります。










A 特に乳幼児におこる腸重積では、お腹が痛くて急に泣き出します。

いったん泣き止んでもまたしばらくすると痛んで泣きます。
これを反復しているうちに元気がなくなるようになります。

さらに、 血液にまみれた便が出ることもあります。
腸重積が疑われます。整復する処置が必要です。
直ちに病院 (小児科と外科のある病院) を受診して下さい。

また、腸重積に限らず、元気がなくなるというの は全身状態の悪化を示します。
要注意です。
早めの受診をおすすめします。

B 便全体に血液が付いていたり、
便器に血液が広がるように大々的に血が混じっているようなとき、
腸の重い障害や全身的な病気が疑われます。緊急を要します。
夜中であろうと何であろうとすぐに 病院を受診して下さい!

C 腹痛や繰り返す嘔吐で水分がとりにくくなったり、あるいは下痢で水分が失われると脱水になります。
血のめぐりが悪く、顔色が蒼白く倦怠感でぐったりします。
おしっこが出なくなっていきます。

脱水は、腹痛が強くても弱くても、病気が重くても軽くても起こりえます。
脱水の改善や原因の診断治療のため、早めの受診を考えて下さい。

ライン
【よくある腹痛】

安心していいお腹の痛みなどはありませんが、とりあえず様子を見ていいものはよくあります。

要は、痛みや全身状態は悪化傾向か、脱水の進行はないか看病しながら観察することが重要です。

@ 子どもが急に強く差し込むようにお腹を痛ませることがあります。

赤ちゃんでも今まで元気で機嫌よかったのに、火が付いた様に泣き出すことがあります。何事かと大変心配になります。
しかし、 しばらくするとケロッと良くなってしまいます。
かと思うとまた痛み出します。
痛みと痛みの間は普通にしていられます。
これが腸重積とは違います。

お腹を聴診すると、ごろごろと活発に動いて いる音が聞こえます。
お腹に耳を当てて聴いてもよく聞こえます。
お腹は張っていて押すと多少痛がるかもしれません。
このような時には、浣腸してみて下さい。
反応便があり、ガスも出ます。
そ うするとすっかり良くなってしまいます。
このように、便やガスで一部の腸が緊満状態になると急に鋭く強い痛みが生じます。

ところが、ガスが腸の中を移動して緊満状態が解消されると、痛みは 一過性で消えてしまいます。
便秘であっても、そうでなくても起こりえます。
病院にいく前に、自宅で浣腸 (薬局で売っています) してみて下さい。
浣腸は危険ではありません。

また、赤ちゃんなら まずは腹部のマッサージや綿棒でお尻の穴を刺激してみてもよいでしょう。

A 胃腸炎の時はお腹が重苦しく痛みはしくしくと続きます。

下痢する時は一時的に痛みも強くなったり苦しいかもしれま せんが、それを通り過ぎると横ばい状態でしくしく痛みます。

今後脱水になったり、症状が悪化していかないか観察して下さい。
水分の補給 (吸収の良い水分を少しずつ、こまめに) を心がけて下さい。
もちろん胃腸症状+全身状態が悪化するようなら受診を考えるようにして下さい。

B お腹の痛みとは関係なく、ウンチにわずかに血液が付いていることがあります。所々に点のように小さく赤く付いています。
また、糸を引いたように細長く付いていることもあります。
赤ちゃん は機嫌よく元気にしています。
病的なものではありません。
ウンチが出てくる時に、腸の表面がこすれたり、肛門が少し切れたりして付いたものと考えられます。心配ありません。

C たとえお腹を痛めていても、不十分ながらも何とか水分が摂れていれば、脱水の進行はそれなりに抑えられます。

飲んだ水分を吐いてしまっても、一部は吸収されていると思われます。
吐き気が治まったころあいを見て、また少しずつ水分を与えてみて下さい。
脱水の進行を抑えながら、時間稼ぎしているうちに子どもの抵抗力が出てきて病気が治っていくことが期待されます。
脱水が進行するなら受診を考慮して下さい。