よくある質問

被曝した放射線の体への影響は、どのように考えたらよいか


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結論から言うと、放射線の人体への影響は「シーベルトという単位で表された数値で考えるのが基本」ということになります。
ただし、食べるものに関しては、ベクレル単位で考える方が実用的と思われます。

被曝の量が多ければ多いほど体への影響は大きくなるのは当たり前の話ですが、しかし実際はそう単純なものでもありません。
つまり、器械で測った放射線の数値が、そのまま人への影響の程度の強さを示すわけではありません。
というのは、一口に放射線といっても色々な種類があり、それぞれ影響の度合いが異なるからなのです。
また、放射線を全身で浴びたのか、体の一部に浴びたのかでも違います。
さらに、同じ量の放射線量でも、一度に浴びたのと何回かに分けて浴びたのかでも異なります。年齢によっても変わります。つまり、ヒトをはじめとして生き物への影響を考えるうえでは、生物学的な要因を色々と考慮しなければならないのです。

そこで、器械が測定した放射線量の数値をヒトへの影響の程度に換算する作業が必要になりますが、いちいちそんなことを我々がやれるわけがありません。
ありがたいことに、世の中にはすでにその換算する作業をやってくれた人がいます。
どこのどなたか知りませんが、ものすごく几帳面で生真面目な研究者だったのではないかと想像します。
さまざまな被曝の資料や実験結果を収集・分析し、その結果、放射線の人体への影響を換算する数字を割り出してくれたのです。
それが「実効線量係数」といわれているものです。
さまざまな被曝の場合に対して計算されてあります。

放射線の量を器械で測った結果はベクレルという単位で表されます。これに「実効線量係数」を掛けることで、ヒトへの影響の程度を表す数字に換算されます。換算された数値は、シーベルトという単位で呼ばれるようになります。
つまり、シーベルト表示の数値なら、その値が人への影響の大きさを示しているということになります。
簡単に数式にすると以下のようになります。
実際の測定値(ベクレル)×実効線量係数=影響の程度(シーベルト)

ところで、食べものによる影響を正確に知ろうと思ったら、実際に自分の食べる料理の重さを量り、料理ごとの放射線量を放射線測定器ではかり、シーベルトに換算する作業が必要です。
それを毎日、食事ごとにやらなければなりません。
そんなことは、測定器もないし手間も暇もかかりすぎて、もちろん不可能です。

一方、料理に使われる食材一つ一つについて放射線量がインターネット上などで公開されており、簡単に知ることが出来ます。
しかし、その数値は測定器で測られたままのベクレルの単位で表示されてあります。
「実効線量係数」を掛けてシーベルトに換算した結果を表示してくれててもよさそうなものですが、そう簡単にはいきません。
なぜかというと、食材が調理・加工されて料理になる過程で、そこに含まれる放射性物質がある程度除去されるからです。
料理の仕方によっても除去される量が変わってきます。
だから、料理になった段階で放射線量がどの程度あるのかは、食材の数値からは推計することはできないのです。
しかしながら、せめても、食材の放射線量がベクレル単位のままで公開されているのだと思われます。

では、食べ物による影響を知るのにはどうしたらいいか。たとえ正確でなくてもいい、大まかでいいから、とりあえず知りたい。
そう考えた私は、調理によって除去される放射性物質を無視することにしてみました。
つまり、食材に含まれる放射性物質をそのまま摂取するものと仮定しました。
放射性物質の量を多めに見積もることになります。
食材で計測された放射線量に「実効線量係数」を掛ければ、ヒトへの影響の度合いとなるシーベルトに換算できます。

この考え方をもとに、私は食材に含まれる放射線量が何ベクレルまでなら許容できるか逆算してみました。
自分自身の年間の被曝量の許容範囲は1mSvと決めてありましたので、これ以内に抑えるためには、一つ一つの食材にはどれくらいの量の放射線量なら大丈夫なのか。
まず1mSvを「実効線量係数」で割り算します。
そして、1年間に食べる食材の重量(大人は1日に平均1.4kgの食材を食べるというので、その365倍)で割り算しました。
その結果、約100Bq/kgという数値になりました。
つまり、どの食材もおしなべて、1kgあたり100ベクレル以下の放射線量のものをとっているのであれば、年間1mSv以内に収まるということになります。
でも、被曝は食べ物からだけではありません。それ以外の内部被曝、外部被曝もひっくるめて1mSvにしなければなりません。ですから、自分にとっての食材の放射線量の許容範囲は、食材1kgあたり100ベクレルの数分の1に抑えるとして、数10ベクレルを基準に設定したいと考えました。

ちなみに、政府の決めた食品に含まれる放射性セシウムの暫定基準値は500ベクレルとなっています。
ということは、食品だけから年間5mSvまで被曝しても仕方がないという考えかたに立って算出されたものと推察されます。
これは原発事故が起こったために、臨時の一時的な基準として取り急ぎ設定されたものでしょう。
事故から半年以上が経過しています。
いつまでも暫定基準値で規制していればいいというものではありません。
一刻も早く事故を収束させて、より安心できる恒久的な基準値を設けて、それに移行してもらいたいものです。


2011年10月19日

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